前橋赤十字病院は、大正2(1913)年3月23年、日本赤十字社群馬支部病院として開院し、同年4月1日より診療を開始しました。それから長い年月が流れ、患者さんの増加、診療科の新設、建造物の老朽化が進み、修繕につぐ修繕、改装、増築を繰り返してきました。

昭和35年に竣工した鉄筋の新病棟建設の様子

その後も建物老朽化、狭隘化が進み、多様化する医療ニーズや基幹災害拠点病院としての大規模災害発生時の対応が難しい状況にありました。安全で良質な医療の提供と当院が果たすべき役割・機能を十分に発揮するために、平成22年12月に移転・建て替え方針が決定しました。

平成6年9月完成の旧病院東館建設風景

平成23年12月、数ある候補地の中から「上川渕地区周辺」に移転場所が決定し、平成25年10月より、移転に伴う建設工事が進んでおりました。平成30年2月28日に新病院の竣工引渡となり、30ケ月に亘る病院本体工事が終了。同年6月1日、朝日町より朝倉町への移転が終了いたしました。

平成27年頃の新病院建設予定地。

平成22年 12月15日 日本赤十字社群馬県支部長により移転建て替え方針の了承
平成23年 12月26日 移転先地域が「上川渕地区周辺」に決定
平成26年 3月20日 日本赤十字社本社理事会開催にて移転建て替え工事施工の承認
平成27年 10月7日 移転建設工事開始 起工式
平成28年 6月17日 新病院エネルギー棟建設工事 安全祈願祭
平成28年 7月20日 アート・イン・ホスピタルメディア発表
平成30年 2月5日頃 移転先住所が前橋市朝倉町389番地1に決定
平成30年 2月28日 新病院竣工式「神事」・引渡式
平成30年 4月21日 新病院 落成式記念式典
平成30年 5月3日 新病院内覧会(一般の方向け)
平成30年 6月1日 新病院移転に伴う患者移送実施
平成30年 6月4日 新病院開院
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修繕、改装、増築により旧病院内導線は迷路化していた。

新病院建設前の移転予定地。見晴らしの良い水田地区。

建設中の新病院本館。酷暑による現場作業員熱中症防止のため様々な工夫が行われていた。

6月1日、患者さんの移送に関わった職員約1280名、各行政機関等職員約330名だった。

高度急性期・緊急医療の充実

平成15年3月に"高度救命救急センター"に認可された前橋赤十字病院は、新病院移転にて医師・看護師などスタッフを増員し、重症患者用ベッドを72床、うち集中治療室(ICU)が24床に倍増し、受入体制を強化しました。また、多くの手術に対応できるよう、手術室も15床と増加しました。

ガラス面積を広くするなどして、患者さんを観察しやすく設計された集中治療室。

基幹災害拠点病院の機能拡充

災害時に発生する重篤救急患者の救命医療を担う県内唯一の基幹災害拠点病院として、多数傷病者発生時のトリアージスペース、治療エリアの確保のため、500人収容可能の講堂、災害備蓄倉庫の拡張・充実をはかりました。それにより病院全体が救急外来として機能できるように設計されています。

災害時には負傷者のトリアージなどに使用される講堂。普段は講演会や研修などに活用している。

屋上から地上ヘリポートへ

新病院の敷地面積は12万平方メートル。旧病院のおよそ4倍の広さとなり、ドクターヘリ・防災ヘリが5機に加えて、大型の自衛隊ヘリ(CH-47)が着陸できる地上ヘリポートを併設しています。大規模災害発生時に、重症患者を多数受け入れ、さらにヘリを使って県内各病院と連携することが可能となります。

地上ヘリポートと救急外来への距離短縮で、速やかな患者の処置室への搬送につながっている。

新方式の導入。ドクターカー

「ドクターヘリ補完的事業としてのドクターカー運用」として5年前に開始された前橋ドクターカー。これまでは消防署から救急車で病院まで医師を迎えに行き、現場進出するピックアップ方式を採用していましたが、新病院では救急隊員と救急車が院内に常駐し、要請とほぼ同時に出動するステーション方式に変更となりました。

ドクターカーが病院に常駐することで、医師が患者さんに接触できるまでの時間を2〜3分短縮。さらに医師が直接患者さんの状況を把握できるため、適切な初期治療を行えるメリットがある。

県内初導入。サイバーナイフ

当院は平成20年2月8日に「地域がん診療連携拠点病院」に指定され、質の高いがん診療が受けられる環境の整備、診療を行ってきました。新病院開院時に最新鋭の定位放射線治療装置サイバーナイフM6を導入、9月より治療開始し、低侵襲で高精度ながん治療を短期間で行う環境を整えました。

治療回数・期間には個⼈差がある。 病変の場所や⼤きさ、近くにある重要臓器との距離などを考慮して検討している。

病院にアートを。アート・イン・ホスピタル

効率や衛生面を優先するあまり殺風景になりがちな病院にアートを取り入れて、患者さんや職員、訪れる方々の心に癒しを。アートインホスピタルの先駆者でもあり、日本を代表する銅版画家でもある山本容子氏監修のもと、第一戦で活躍する4名の作家により制作された芸術作品を院内の7箇所に展示しています。

西野陽一「流れ藻の伝説」。1階患者支援センター内の待合に飾られている。