心雑音とは

 医師は、診察にて聴診をします。この時、心音を聞いています。 心雑音とは、心臓の雑音のことで、心臓の鼓動と調和せず、音律を乱しているものです。 多くの場合、血液が心臓弁や心臓近くの血管を流れる時に発する、特徴的な異常音です。 その異常な音は “雑音”で、弁の開閉時に音をたて、心臓弁の欠陥が原因のことが多いです。 しかし、特に、欠陥のない場合にも聴こえることがあります。

心雑音の種類

心臓の拍動の周期のどの部分に雑音が聞こえるかにより分類されています。以下は主要な心雑音です

収縮期雑音 心筋が収縮している間に起こる心雑音。
拡張期雑音 鼓動間で筋肉が弛緩している間に起こる心雑音
連続性雑音 心周期内で常に起こる心雑音。

心雑音は全て心疾患なのか?

答えはNoです。
全ての雑音が心疾患と関連しているとは限りません。貧血や発熱等にて生じ、しばらくしてなくなる雑音や明らかな原因がなく生じている機能性雑音といった雑音も認められます。 そのため、適切な分析を行い、心電図や心臓エコー検査で判別することが大切です。これらの検査は全く害がなく、心臓の形態と動きを調べるのに適しています。

心雑音を起こす病気にはどんなものがある?

心雑音を引き起こす心疾患には次のようなものが挙げられます。

先天性心疾患(心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、等)
心臓弁膜症(大動脈弁狭窄症/閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症/閉鎖不全症、等)
心臓腫瘍(左房粘液腫、等)
心不全
その他
心雑音の正確な診断は心臓超音波検査で行いますが、スクリーニングとしては聴診が大変重要です。

是非、心雑音を指摘されえれば、当院に紹介して頂いて下さい。
当院でその原因診断をさせて下さい。必要あれば、一貫して治療を行います。
もちろん、弁膜症を指摘されている方の重症度判定・治療も行っております。
来院された患者さんは心雑音の原因精査、弁膜症の重症度診断など治療方針決定後、患者さんの治療・管理をかかりつけの医師とともに行っていきます。

心臓弁膜症

大動脈弁

大動脈弁狭窄症

大動脈弁の狭窄症はリウマチ熱の後遺症で生じることもありますが、最近では高齢者の方で大動脈弁が硬くなり、開きの悪くなる、加齢に伴う大動脈弁狭窄症が、増加しています。弁を長年使い込んできたために硬くなってきたからと考えられていますが、高血圧や高コレステロール血症などと関連も指摘されてます。 比較的若年者でも大動脈弁狭窄症が生じることがあります。これは先天的な弁の異常によるものです。本来、大動脈弁は弁尖といわれる膜が3枚あるのですが、その弁尖が生まれつき2枚しかないために弁に負担がかかり、硬くなったり、逆流したりするものです。この疾患は決してまれなものではなく、先天性疾患の中では比較的よく認めらえるものです。 大動脈弁の開きが悪くなり、その部分を血液が流れるのに抵抗が生じても、心臓はその抵抗に打ち勝って必要なだけの血液を大動脈の方に送らなければならず、その抵抗の為に、心臓の壁が分厚くなってしまいます。これが「心肥大」です。 重症になると狭い大動脈弁口から送り出される血液が十分な量ではなくなり、心筋の酸素不足のため胸痛が生じたり、脳への血流不足のため失神を起こしたりすることすらあります。また心臓への無理がたたって心不全になります。

大動脈弁狭窄症の大動脈弁

大動脈弁閉鎖不全症

大動脈弁の閉鎖不全症は、リウマチ熱の後遺症、加齢に伴う変化、二尖弁など大動脈弁そのものが原因のほか、大動脈が原因の場合もあります。この病気では大動脈弁が完全に閉じないために、心臓から大動脈に送り出した血液の一部が再び心臓に戻ってくることになり、心臓はその分、余分な仕事をしなければなりません。そのため心臓は心肥大を示すのみならず、しだいに大きくない、心拡大をきたします。この病気でも、最終的には心臓への無理がたたって心不全となり、体を動かしたときの息切れなどの心不全症状が出てきます。

大動脈弁狭窄症兼閉鎖不全症の大動脈二尖弁

僧帽弁

弁葉 2枚(前尖,後尖).弁葉の開閉は,左室筋の収縮拡張に応じ,迅速に行われる.閉鎖時に,弁は重なり合う.
腱索 弁の端から乳頭筋まで伸びている“パラシュート”様の組織で,弁の閉鎖時に弁の動作域を制限する.
乳頭筋 右には3つ,左には2つある心室筋の一部である乳頭筋の収縮が,腱索に張力となって伝わり,弁の開閉をスムーズにする。 右には3つ,左には2つある心室筋の一部である乳頭筋の収縮が,腱索に張力となって伝わり,弁の開閉をスムーズにする。
弁輪 重要な構造物に取り巻かれている.

僧帽弁狭窄症

僧帽弁狭窄症は子供の時にかかったリウマチ熱の後遺症として中年以降に発症するものが大半を占めていました。しかし最近はリウマチ熱に伴う僧帽弁狭窄症はずいぶん少なくなっていますが、中年から高齢者の方でときどき見かけます。 僧帽弁は左心房と左心室の間の弁ですが、その弁が十分に開かないと左心房の血液は左心室にスムーズに流れなくなり、左心房に負担がかかり、左心房が大きくなります。そうなると不整脈(心房細動)が出たり、左心房内に血液がよどんだりするようになり、血栓ができ、血液に乗って流れ出し、脳血管を詰まらし、脳行梗塞を起こします。また、左心房が大きくなると、その手前にある肺にも負担がかかり水がたまって、心不全といわれる状態になります。

僧帽弁狭窄症の僧帽弁

僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁閉鎖不全症はリウマチ性のものもありますが、僧帽弁逸脱症や腱索断裂による変性による場合が多く認められます。腱索というのは僧帽弁の弁尖を左室側から支えている「ひも」のようなものです。この一部が伸びたり、切れたりして、弁を支える力が弱くなり、弁の一部が左房側にひっくりかえるようになって逆流が起こる病気です。 左心室から大動脈へ送られる血液の一部が逆流ため、左心室は余分に仕事をしなければなりません。その結果、左心室は大きくなってきます。もっと進行すると、左心室は大きくなるだけではなく、左心房に負担をかけますので、僧帽弁狭窄症のときと同じように息切れが出たり、肺に水がたまったりします。

僧帽弁閉鎖不全症の僧帽弁

当科が運営するホームページ


© 前橋赤十字病院 病院紹介 個人情報保護法 採用情報