放射線治療科
Radiation Oncology

放射線治療とは

放射線治療は、手術、薬物療法(化学療法・抗がん剤治療)と並ぶがん治療の一つです。この治療の主な目的は、放射線を用いてがん細胞の増殖 を抑制することにより、がん病変の増大・進展を抑制すること、またがん病変による様々な症状を軽減することです。がんが一定の範囲に留まって いる状況では、手術に次ぐ局所治療の一つとして、根治を目指した治療となりうる場合があります。また、がんの広がった範囲に関わらず、がん病 変による症状がある際には、照射する範囲を限って放射線治療を行うことで、その症状を軽減できる場合があります。

放射線治療は、他のがん治療との組み合わせで行うことが出来ます。根治を目指した手術の前または後に放射線治療を行うことで、再発のリスク を低減したり、機能温存を図ることが可能になったりします。また放射線治療と薬物療法(抗がん剤・内分泌療法)や免疫細胞療法などとの併用に より、放射線単独で治療するよりも更に高いがん抑制効果を期待できる場合もあります。

放射線治療は、治療期間中の身体への負担が少なく、日常生活を保ちながら治療を受けることも可能です。 実際に外部照射を行う場合には、放射線が当たっている間、痛い・熱い・まぶしいなどの自覚症状はありません。放射線治療装置のある部屋で、放 射線が予定の位置に正確に照射されるように、治療台の上で位置合わせを行います(主に仰向けの姿勢)。脳や頭頸部などへの治療の際には、位置 合わせの精度を上げるためにそれぞれの方に合わせたマスクの作製を事前に行い、治療前に装着して照射を行うこともあります。位置を合わせた 後、静かな呼吸をしながら、動かずにいて頂く必要があります。治療が終わった直後には通常、大きな体調の変化はありません。
治療は1日1回で、1回の治療で部屋に滞在する時間は15分前後(実際に放射線が出ている時間は数分間)です。治療は複数回に分けて目的とな る放射線の量を照射するのが一般的で、その期間は数日~2か月程度と、がんの種類や部位、病状、症状等によって様々です。当院では週5回(平 日)に治療を行い、土曜・日曜・祝日はお休みです(年末年始など長期連休の際には別途検討します)。治療期間中は体調に応じて、仕事を継続す ることも軽度の運動をして頂くことも多くの場合で可能です。

当科の特色

放射線治療科のスタッフは、常勤医師2名、非常勤医師1名、診療放射線技師5名(2018年6月から)(医学物理士、放射線治療品質管理 士、放射線治療専門放射線技師を含む)、専従看護師1名、受付スタッフ2名です。 院内の各診療科の先生方との協議・キャンサーボード等で、スムーズで適切な医療連携が図れるよう努めています。また、近隣の医療機関の先生方 からのご紹介やご相談、セカンドオピニオンにも随時対応させて頂いています。

当科では、治療を受ける方の病状はもちろん、ご本人・ご家族の生活やお仕事、経済的負担などを含めた状況やご意向をお伺いしたうえで、最も 適した治療をご提案致します。すべての方にとって適切ながん医療を提供できるよう、また患者さんが安心して治療を受けられるよう、「患者にや さしいがん医療」をスローガンに、スタッフ一丸となって全力で支援いたします。

当院は地域がん診療連携拠点病院に指定されています。また日 本放射線腫瘍学会(JASTRO) 認定施設および日 本医学放射線学会(JRS)放射線科専門医修練機関の一つでもあります。当院の使命に則り、地域のがん診療の向上と適正化に努め ておりますので、治療適応のご質問やお問い合わせなどございましたら主治医の先生方とご相談の上、ご連絡下さい。

当院で可能な放射線治療

放射線治療装置(リニアック)は現在1台で、2011年5月にVarian社製Clinac® iXが導入されました。通常の三次元原体照射(3-dimensional conformal radiation therapy;3D-CRT)に加えて、強度変調放射線治療(Intensity-modulated radiation therapy;IMRT)、定位放射線治療(Stereotactic radiation therapy:SRT)、画像誘導放射線治療(Image-guided radiation therapy;IGRT)などの高精度治療が可能です。2018年6月以降は装置の更新により、強度変調回転放射線治療(Volumetric Modulated Arc Therapy;VMAT)が可能となりました。
2018年6月にAccuray社製CyberKnife(サイバーナイフ)®M6 FIMが導入され、9月よりサイバーナイフを用いた定位放射線治療が可能となりました。
当院では放射性同位元素(RI) を用いた非密封小線源治療も実施可能です。現在、有痛性骨転移に対するストロンチウム-89内用療法(メタストロン®)と去勢抵抗性前立腺癌に対するラジウム-223内用 療法(ゾーフィゴ®)を行っています。(メタストロン®注は販売中止となりました)
また地域医療連携として、群馬大学医学部附属病院での密封小線源治療(腔内・組織内照射)および重粒子線治療を始めとして、近隣の放射線治療 施設と綿密な相互連携を取り、患者さんの状況やご意向に添う治療方針を検討いたします。

放 射線治療に関する参考サイト(外部リンク)

  1. 国 立がん研究センターがん情報サービス 放射線治療
  2. 日本放射線腫瘍学会 JASTRO 一 般向け医 療関係者向け
  3. 群馬大学医学部附属病 院 放射線科
  4. 群馬大学 重粒子線医学センター
  5. 株 式会社バリアンメディカルシステムズ 放射線治療(医療従事者向け)
  6. 株式 会社千代田テクノル サイバーナイフ
  7. Accuray CyberKnife(英語)

(2024年1月改訂)

ス タッフ紹介

名前 卒年 職名 専門分野 資格
清原 浩樹 2000年 部長 放射線治療全般
日本放射線腫瘍学会 放射線治療専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本医学放射線学会 研修指導者資格
医学博士
吉松 幸彦 2020年 専攻医


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