外科(消化器外科)で行っているロボット支援下手術

 当科では、DaVinci Xi Surgical System® (ダ・ヴィンチ) を用いたロボット支援下手術を、2022年6月より開始しました。

 ロボット手術といっても、ロボットが自動で手術を行ってくれるわけではありません。ま ず、患者さまのお腹に挿入したポートに(図1)、ペイシャントカートの4本のアームをドッキングさせ、それぞれのアーム に内視鏡カメラと手術器具(鉗子)をセットします(図2)。

 手術を行う医師が、患者さまのすぐそばに置かれたサージョンコンソールと呼ばれる操縦 席のモニターを見ながら手元のコントローラーを操作すると(図3)、その動きがサージョンコンソールから光ケーブルを通 じてペイシャントカートのアームにセットされた鉗子に瞬時に連動することにより、遠隔操作で手術を行うことが可能となり ます。

 サージョンコンソールでは、高性能カメラの使用により、鮮明で立体感のある3D映像を 見ることができ、最大15倍まで拡大して見ることができるため、肉眼では認識できないような血管や神経、臓器の境界など を認識することができます。また、アームにセットされた鉗子には、人間の手以上に可動域をもつ多関節機能に加え、手振れ 防止機能が備わっているため、緻密で正確な手術が可能となります。

図1.ポート配置

図2.ペイシェントカート

図3.サージョンコンソール

 当科では、胃がんおよび大腸がん(結腸がん・直腸がん)に対し、ダ・ヴィンチ 手術を導入しており、2024年2月までに、胃がん 63例、大腸がん 26例(結腸がん 18例、直腸がん 8例)を施行しております。術式の内訳等に関しては、表1の通りで、術中の合併症によりダ・ヴィンチ手術を中断して開腹移行となった症例はなく、早期退院が可能となってお り、安全にダ・ヴィンチ手術を実施できていると考えております。

 胃がんおよび直腸がんは2018年より、結腸がんは2022年よりロボット支援下手術 が保険適応となっておりますので、いずれも保険診療として行っております。ロボット支援下手術に興味のある方や、胃や大 腸のご病気でお悩みの患者さまは、一度、当科にご相談ください。

表1

文責:前橋赤十字病院 外科部長補佐 清水 尚



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