子宮全摘出術
前橋赤十字病院産婦人科でおこなっています子宮全摘出術は、ロボット支援下、腹腔鏡下、開腹、膣式の４つがあります。全て保険適用です。これらの特徴を表にまとめました。
| ロボット支援下 | 腹腔鏡下 | 開腹 | 膣式 | |
|---|---|---|---|---|
| 手術後の痛み | 最も小さい | 小さい | 最も痛い | 中程度 |
| 手術後退院するまでの期間 | 3-5日 | 4-5日 | 7-10日 | 7-10日 |
| 創（傷）の状態 | 上腹部4か所と下腹部1か所の計5か所。各創は8 mm。 | 臍1か所と下腹部3か所の計4か所。各創は 5-12 mm。 | 12-16 cm の下腹部縦または横切開。 | 全ての操作を膣内で行う。腹部に創なし。 |
| 当科での適応疾患 | 良性子宮疾患の全てと子宮体癌IA期 | 良性子宮疾患の全て | 全ての子宮疾患 | 典型的には子宮脱。 |
| その他の特徴 | 腫瘍が巨大な場合は他の術式より侵襲が小さいこともある。 |
子宮筋腫核出術
子宮を温存し、子宮筋腫だけを摘出する手術です。子宮全摘出術に比べれば出血が多く、手術時間も長い傾向があります。①腹腔鏡下に子宮筋腫を摘出、②腹腔鏡下に加えて下腹に補助的小切開を加えて摘出、③開腹で摘出の3通りの方法で当科では行っています。
子宮鏡手術
子宮内に飛び出した比較的小さな子宮筋腫や子宮内膜ポリープを切除する手術です。膣からスコープを子宮内に挿入して手術します。通常は2泊3日で退院できます。
良性卵巣腫瘍手術
卵巣を温存して腫瘍のみを核出する方法と、付属器（卵巣と卵管）を摘出する方法があります。腹腔鏡下に行うことが当科では多いです。
悪性腫瘍手術
当院は地域がん診療連携拠点病院です。婦人科悪性腫瘍（卵巣癌、子宮体癌、子宮頚癌、肉腫他）の手術や治療を当科でも行っています。
当科年間手術件数（2023年）
- ロボット支援下および腹腔鏡下手術総件数：238件
- ロボット支援下子宮全摘出術：27件
- 腹腔鏡下子宮全摘出術：66件
- 腹腔鏡下卵巣腫瘍手術：101件
- その他の腹腔鏡下手術：44件
- 子宮鏡手術：43件
- 開腹子宮全摘出術（良性疾患）：11件
- 膣式子宮全摘出術：3件
- 悪性腫瘍手術：26件
- その他の婦人科手術：75件
- 帝王切開：155件
リンク
分娩については「当院で出産をご希望される方へ」をご覧ください
こ のページの担当者
満下 淳地
参 考文献
Galaal K, Donkers H, Bryant A, Lopes AD. Laparoscopy versus laparotomy for the management of early stage endometrial cancer. Cochrane Database Syst Rev. 2018 Oct 31;10(10):CD006655. doi: 10.1002/14651858.CD006655.pub3.
Betcher RE, Chaney JP, Lacy PR, Otey SK, Wood DJ. Analysis of postoperative pain in robotic versus traditional laparoscopic hysterectomy. J Robot Surg. 2014 Mar;8(1):35-41. doi: 10.1007/s11701-013-0418-z.
Wright JD, Ananth CV, Lewin SN, Burke WM, Lu YS, Neugut AI, Herzog TJ, Hershman DL. Robotically assisted vs laparoscopic hysterectomy among women with benign gynecologic disease. JAMA. 2013 Feb 20;309(7):689-98. doi: 10.1001/jama.2013.186.