当院における診療情報の活用について
診療情報とは何ですか?
診療情報とは、症状、経過、診断、治療などに関連する文書、数値データなどの総称で、診療を進めていく基になる大事なものです。医療の進歩のために はこの情報を多数集めて詳しく調べ検討していくことが欠かせません。また、医師の養成や医学教育のためにも、こうした情報は広く利用されます。
具体的にはどのようなものがあるのですか?
医学の進歩につれて、診療情報の種類やかたちも増えています。当院のように最先端の医療を目指す病院では、最新の検査も毎年のように加わっており、ごく一般的なもののみ例としてあげておきます。
- (1)診療録(カルテ)に書かれているもの
- 症状、病歴、経過、診断名、検査結果、他の医療機関からの紹介状など言葉や絵などで記載されたものです。
- (2)「検体」や「試料」
- 身体から採取された血液、尿、組織(皮膚、粘膜などの身体の一部分を採取したもの)などそのものをいいます。病院で保存して情報を得るために使いますので、広い意味での「情報」に含めます。
- (3)臨床検査データ
- 上記の「検体」や「試料」をもとにさまざまな検査を行って得られる検査の総称です。紙媒体、電子媒体などで保存されます。心電図、脳波、心理検査なども含みます。
- (4)画像
- 臨床写真、エックス線写真、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像検査)、内視鏡や超音波検査で撮影された写真などは、電子媒体やフィルムで保存されます。こうしたものをまとめて「画像」と呼びます。
- (5)動画等
- 診察や検査、処置、手術などの診療の過程で撮影された動画、写真も「診療情報」に含みます。
自分の診療以外に、こうした情報をどのように活用するのですか?
- (1)当院における診療の全体的な向上のため
- 当院の外来には一日1500人以上の皆様がいらっしゃいます。どのような病状の人がどのくらいいるのか、どんな病気が増えているのか、年齢と 病気の関係はあるのかなど、全体の集計・統計をとって初めてわかる大切なことがたくさんあります。このため、診療情報をまとめて、病気の全体の流れを明らかにし、適切な診療ができるように努めます。
- (2)医学研究のため
- 例えば、同じ病気の人で同じ検査の値を何百人分も集めることによって、病状の変化をより正確につかむことができます。その人の現在の治療にすぐにはつながりにくいこともありますが、将来、診断や治療をよりよいものにするためには、このような情報をたくさん集めて傾向を検討することが大切です。また、新しい診療法等の開発や評価のためには、その病気の方々の検体・試料が不可欠です。
- (3)教育のため
- その病気に典型的な異常を、診療場面や臨床検査、画像、診療録などから直接学ぶことは、研修医に対する医学教育で不可欠な部分です。このために診療情報が教育の機会や学会等で用いられることがあります。
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2022年9月 前橋赤十字病院 院長