臨床工学技術課
安心安全な医療のために臨床工学技術を提供します。

臨床工学技術課は、血液浄化療法センター、心臓カテーテル室、手術室、高気圧酸素室、ME機器管理室、ICU・病棟など、院内各所で医工学に係わる業務を担当する専門集団です。 治療の現場では、医師の指示のもとに医療機器の操作設定を行い、使用後や保管中の医療器機を定期的に点検・管理しています。

理念

安心安全な医療のために臨床工学技術を提供します。

基本方針

  • 医療機器のスペシャリストとして最良の技術を提供します。
  • 最新の知識・情報を発信し、安心安全な医療に貢献します。
  • 効率良く業務を行い、心身ともに健康な職場環境を作ります。

主な業務内容

血液浄化業務

腎臓機能の低下により体内に蓄積した尿毒素や過剰な水分などを、人工腎臓を用いて取り除く治療を行っております。

血液浄化療法センター 血液浄化療法センターでは月・水・金は午前と午後の2回、火・木・土は午前のみの1回血液透析治療を行っております。
出張透析治療 手術後の方や救命センターに入院中で状態の安定しない方は出張透析治療を実施しております。さまざまな病態に合わせて、血液透析、持続緩徐式血液透析濾過(CHDF)、各種アフェレシスなど幅広く対応しています。

アフェレンス

血液は赤血球や白血球などの血球成分と、アルブミンや血液凝固因子などを含む血漿成分で構成されています。アフェレシスは体外循環によって血液を体外へ導き、病気の原因となる物質を分離除去する治療法です。

血漿交換療法 血液から血漿成分を分離除去し、除去した血漿成分量と同等の置換液(新鮮凍結血漿製やアルブミン製剤)を補充する治療法です。劇症肝炎や多発性骨髄腫、薬物中毒に適応されます。
吸着療法 血液に含まれる病気の原因となる物質を、吸着材を使用して除去する治療法です。血液を直接吸着材へ接触させる方法では、難治性潰瘍性大腸炎に適応される白血球除去療法(LCAP、GCAP)や敗血症に対するエンドトキシン吸着などがあります。また、血液成分と血漿成分を分離し、血漿成分のみを吸着材へ接触させる方法には、家族性高コレステロール血症や難治性ネフローゼ症候群に対するLDL吸着療法や肝性昏睡に対するビリルビン吸着療法があります。

腹水濾過濃縮療法(CART)

肝不全や癌性腹膜炎などによって腹水が貯まってしまう難治性腹水の治療です。この治療では、腹水に含まれる癌細胞や細菌などを除去し、アルブミンや免疫成分を回収・濃縮して患者さんの体内へ戻すことで、栄養状態や免疫力の改善をはかりながら自覚症状を改善させます。

高気圧酸素療法

この治療は2絶対気圧(大気圧の2倍、水深10mの圧力)の状態で1時間以上100%酸素を吸入することにより血液中の酸素量を増加させ、酸素不足の組織や損傷を受けている体を回復させるものです。

治療前には必ずトイレを済ませておいてください。
治療時には静電気軽減のため綿100%の衣類または高気圧酸素療法専用の治療着に着替えていただきます(下着も綿100%の着用をお願います)。
治療中は圧力がかかっているため急に装置から出ることはできません。
治療時に圧力の変化によって鼓膜に負担がかかり、耳痛を生じることがあります。その場合、唾を飲み込んだり大きく口を開けるなどの「耳抜き」を施行していただくと、痛みが軽減し治療を行う事ができます。風邪などで鼻がつまって上手く耳抜きができない場合には、医師が診察した上で治療前に鼓膜切開などを行なうことがあります。

治療の際には、患者様一人一人の状態により圧力の変化を緩やかにするなど調節できますし、治療中は常に担当者と会話が可能ですので安心して治療を受けて下さい。

手術室関連業務

当院の手術部では、年間6,000件以上の手術が行われています。臨床工学技士は手術補助業務などにあたっています。

体外循環関連業務 心臓の手術(開心術)をする場合、一時的に心臓を止めなければなりません。その際、手術中の生命を維持する役割を担うのが人工心肺装置です。臨床工学技士はこの人工心肺装置を中心に、心筋を保護する心筋保護装置、術中の体温を調節する体温調節の装置、心臓の補助及び心筋に血流を増加させるIABPなどの監視・操作を行なっています。
腹腔教手術 近年の内視鏡機器の進歩により、手術症例は拡大されています。臨床工学技士は手術が安全に施行できるよう、各装置の準備と設定、術中の調整などを行います。
体外衝撃波結石破砕術 この装置は、体外で衝撃波を発生させ、体内の結石に衝撃波を収束させて破砕するものです。当院では、腎臓や尿管にできた石を対象にESWLを実施しています。臨床工学技士は手術が安全に施行できるよう、各装置の準備と設定、術中の調整などを行います。
保守点検業務  手術室では術式に応じてさまざまな医療機器が使用されます。臨床工学技士は、手術が安全かつ円滑に行えるよう、機器の日常点検、定期点検、必要に応じた調整などを行っています。

ME機器管理業務

医療機器の安全使用を確保するために、定期的に機器の点検を行っています。また病棟での障害への対応や、医師・看護師へ医療機器の安全使用に関する勉強会なども実施しています。

管理システムを使用 機器の使用後の清掃および動作点検を行い、異常がないことを確認して次の使用に備えます。また点検や修理履歴の結果を医療機器管理システムに入力し記録管理しています。
他部門との連携 院内のRST(Respiration support team:呼吸サポートチーム)に参加し、週1回のラウンドを他職種と連携して実施しています。

心臓血管内科業務

心臓カテーテル検査室で循環器疾患に関わる検査・治療の業務支援を行っています。主な業務は、カテーテル治療などの虚血性心疾患治療と植込みデバイス(ペースメーカ、植込み型除細動器、心臓再同期療法)治療およびカテーテル・アブレーションなどの不整脈治療です。緊急症例には24時間対応できるよう待機態勢を整えています。

虚血性心疾患治療

カテーテル・インターベンション治療とは、狭くなった心臓の血管を小さな風船で拡張し、ステントと呼ばれる金属できた網目状の筒を留置する治療法です。

血管内超音波診断装置(IVUS)操作・データ管理

IVUSで得られた画像を元に使用するバルーン、ステントを決定します。

生体監視記録装置(ポリグラフ)の操作

ポリグラフを使用して「心拍出量の測定」「心内圧の測定・解析」「心内シャント率の測定」を行っています。

ロータブレーターの操作・管理

ロータブレーター治療とは、高度な動脈硬化により狭くなった血管に対して、毎分20万回回転するダイヤモンドをコーティングしたドリルで血管の狭くなった硬い部分を削り取る方法です。

補助循環装置の操作・管理

大動脈内バルーンパンピング法(IABP)、経皮的心肺補助法(PCPS)の挿入介助を行っています。挿入後は病室で作動状態を定期的に確認しています。

不整脈治療

正常なリズムを保てなくなった心臓からの不整脈に対して行う治療法です。

植込み型治療装置

植込み型デバイスについては、植込み手術から退院後の経過観察まで係わり、外来では定期的に作動状態や不整脈の履歴チェックを医師と共同で行っています。

心臓ペースメーカ

徐脈性不整脈では心拍数が正常より遅くなりますが、心臓に電気刺激をあたえ、正常な脈の速さにする装置です。

植込み型除細動器(ICD)

心室細動などの命をおびやかす不整脈に対して、電気的除細動を行う装置です。

その他の植込み装置

心不全に対して行う心臓再同期療法(CRT)や長期間の心電図を監視する植込み型心電計(ILR)などがあります。

カテーテル・アブレーション・電気生理学的検査(EPS)

心臓内にカテーテルを挿入し不整脈の原因を調べ、不整脈を起こしている刺激の伝わる経路をカテーテルで焼却し治療する方法です。

集中治療業務業務

ICUでは呼吸療法、急性血液浄化療法、補助循環などの業務に携わっています。 人工呼吸器、持続緩徐式血液濾過透析やアフェレーシスなどの血液浄化装置、PCPS・ECMOやIABPなどの補助循環装置の準備や操作、管理を行っています。2014年度より当直勤務を開始し、24時間体制で対応しています。


ECMOプロジェクト

ECMO(Extracorporeal membrane oxygenation)とは患者さんの血液をポンプで体外に引き出し人工肺で充分に酸素を与えて再び体内に戻すという体外式膜型人工肺です。 当院では日本呼吸療法医学会ECMOプロジェクトに参加しています。 医師・看護師と連携して院内マニュアルの作成やトレーニングを行うことで、安全なECMO管理が行えるよう努めています。