心臓病・血管病への取り組み
前橋赤十字病院 心臓血管内科が日頃行っている、心臓病と血管病への取り組みについてご紹介いたします。これからも当科へのご要望・ご意見がありましたら、遠慮なくご連絡ください。
その① 心臓救急への取り組み
心臓疾患は急性心筋梗塞・急性冠症候群・急性心不全など、突然発症し時間とともに予後が悪化するものが多いため、一刻も早い診断と治療が必要です。当院では救命センター・ICUが満床であっても胸痛患者さんを受け入れる体制を整えています。救急隊との相互理解を深めるため、定期的に「心臓救急カンファレンス」も開催しています。
その② 治療開始までの時間短縮と重症例対応
心臓血管内科では365日当直を行い、診断・治療開始を迅速化しています。重症例ではIABP(大動脈内バルーンパンピング)、V-A ECMO(静脈-動脈体外式膜型人工肺)に加えてImpella(経皮的左心室補助装置)を用いた循環補助、目標体温管理療法(低体温療法)を含む神経集中治療も実施しています。原因疾患に対してはPCIや緊急心臓外科手術を迅速に行い、最適な治療を提供しています。
その③ PCIへの取り組み
救急PCIのみならず、待機的PCIにも積極的に取り組んでいます。CTO(慢性完全閉塞)や高度石灰化病変に対するデバルキングデバイス(ロータブレーター、オービタルアテレクトミーシステム[OAS]、冠動脈内ショックウェーブ治療[IVL])を用いた治療など、complex PCIにも対応可能です。さらにFFR-CTやシンチグラフィーを用いた非侵襲的虚血評価を行い、PCIの適応を最適化しています。加えて、心臓外科と連携しハートチームとしてCABGとPCIを適切に使い分け、最良の治療法を提案しています。
その④ 失神・不整脈診療への取り組み
年間200名を超える失神・意識消失例が搬送されます。EPS(心臓電気生理学的検査)、薬物負荷試験、心室頻拍誘発試験、そして**ICM(植え込み型心電計:Implantable Cardiac Monitor)による長期心電図記録などを駆使して診断しています。致死性不整脈が確認された場合にはICD(植え込み型除細動器:Implantable Cardioverter-Defibrillator)を用いて再発予防を行い、心房細動などに対してはカテーテルアブレーションを積極的に実施しています。
その⑤ 心不全診療への取り組み
心不全では年間250〜300名が入院します。弁膜症や虚血性心疾患に応じて、外科的手術・カテーテル治療・内科的治療を選択し、CRT(心臓再同期療法:Cardiac Resynchronization Therapy)や補助循環デバイスを用いて予後改善を図ります。さらに心肺運動負荷試験(CPX)を取り入れた心臓リハビリテーションにも積極的に取り組み、再入院予防や生活の質(QOL)の向上を目指しています。
その⑥ 構造的心疾患(SHD)に対する低侵襲治療
2023年よりTAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)、2025年より左心耳閉鎖術(LAAO:Left Atrial Appendage Occlusion)を開始しました。外科手術が難しい患者さんにも、低侵襲で安全な治療選択肢を提供しています。
その⑦ 透析シャント治療と末梢動脈疾患(PAD)
PCIの技術を応用して透析シャント狭窄・閉塞に対する治療を行い、再狭窄率を低く抑えています。さらに下肢末梢動脈疾患に対しても積極的にカテーテル治療を行い、重症下肢虚血例では形成外科や皮膚科、整形外科とも連携して救肢を目指しています。
その⑧ 肺高血圧症診療への取り組み
肺高血圧症は原因の鑑別が重要であり、当科では右心カテーテル検査などを用いた原因検索から肺血管拡張薬の導入まで包括的に対応しています。膠原病関連など他分野が関与する場合には、膠原病内科・呼吸器内科など関係各科と密に連携し、集学的に診療を行っています。
その⑨ 患者さん・ご家族と協力して病気に向き合う
循環器疾患は生活習慣病や加齢と関連することが多く、長期的に向き合う必要があります。私たちは患者さん・ご家族との協力を大切にしながら、心臓・血管病に広く積極的に取り組み、より良い医療を提供してまいります。



