出産で入院される方へ

和痛分娩について

和痛分娩を行っています

現在、対象は経産婦さんのみとなっています

当院では、2025年8月から和痛分娩を開始しました。産婦人科と麻酔科と助産師で協力して管理を行い、安全に十分配慮し、陣痛の痛みを和らげながら、安心して出産に臨んでいただけるようサポートします。合併症があって総合病院での分娩が望ましい方が優先になります。

和痛分娩とは

痛みの伝わり方痛みの伝わり方
痛みの伝わり方(一般社団法人 日本産科麻酔学会HPより転載)

分娩進行に伴い子宮が収縮したり、子宮の出口や腟が引き伸ばされると神経を介して脊髄に伝わります。(図1参照)和痛分娩とは、薬剤を用いて分娩の際の痛みを和らげながら分娩することを言います。これにより、産婦さんは陣痛中もリラックスして過ごしやすくなります。当院では主に硬膜外麻酔を併用した方法を用いますが、鎮痛効果が強く、体力温存することができ、産後の回復が早くなります。その他にも、陣痛がきている時のお母さんは、体に必要な酸素の量が増えるのですが、和痛分娩により、酸素必要量を増えにくくすることができます。心臓や肺にご病気のある産婦さんや血圧が高めの産婦さんには和痛分娩によりその負担を軽くすることも可能となります。

和痛分娩を受けられない症例

お母さんの血が止まりにくい疾患がある、背骨に明らかな変形がある、穿刺する背中の部位に膿が溜まっている、キシロカインアレルギー(疑い含む)がある場合は和痛分娩を受けられません。

和痛分娩の方法

当院では硬膜外麻酔を用いて、分娩時期をあらかじめ決めて行う計画和痛分娩です。硬膜外麻酔は、背骨のところにある「硬膜外腔」という場所に細くて柔らかいプラスチック製のカテーテルを入れ、カテーテルから薬を少しずつ注入して痛みを軽減する方法です。分娩進行に伴い、痛みが強い場合は、ボタンを押して、薬を少量追加することも可能です。また、当院では麻酔科医・産婦人科医・助産師が協働して管理を行うため、予定を決めて日中の分娩を目指します。予定していた計画分娩日より前に陣痛や破水で入院した場合は、原則は和痛分娩を行うことはできません。

硬膜外麻酔の管(一般社団法人 日本産科麻酔学会HPより転載)

和痛分娩の流れ

入院日

シャワーを済ませていただき、13時入院となります。内診して、必要があれば子宮口を広げるためのバルーン(ミニメトロなど)を入れます。
夕方頃、手術室となりのPFCリカバリー室に移動して、麻酔科医により、背中から硬膜外カテーテルを入れます。この時はカテーテルのみで、鎮痛するための薬は入りません。
21時〜固形物の摂取はできません。水分は摂取可能です。

分娩日

5時半〜胎児心拍陣痛図をつけます。
6時〜陣痛誘発の内服薬(プロスタグランディンE2錠)を、陣痛の様子を見ながら1時間毎に内服します。
8時半頃 内診をして、陣痛誘発の点滴に切り替えます。心電図・血圧計・酸素飽和度計をつけたままにします。
10時頃 カテーテルから麻酔薬の注入を開始します。薬の効果は30分くらいで出てきます。
およそ2時間毎に内診や、細い管を入れて尿を出す処置を行います。進行状況により人工的な破水を組み合わせて日中の分娩を目指します。分娩後2時間程度で硬膜外カテーテルを抜去して自室に戻ります。

和痛分娩の合併症

よく起こる副作用

低血圧 一時的に血圧が下がることがあり、点滴や昇圧薬などで対応します。
足の感覚が鈍くなる、足の力が入りにくくなる(頻度100%) 麻酔の影響で足の感覚が鈍くなったり、足の力が入りにくくなります。
尿意が弱くなる、尿が出しにくくなる(頻度100%) 定期的に細い管を通して尿を出す処置を行います。麻酔が効いているため、痛みはありません。
かゆみ 和痛分娩の薬の影響で軽度の痒みが出ることがあります。
体温上昇 分娩後解熱することがほとんどですが、発熱することがあります。

まれに起こる不具合

硬膜穿刺後頭痛(頻度 約1%) 硬膜外麻酔で硬膜に傷がついた場合などが原因で頭痛が起こることがあります。起き上がると痛みが強くなり、横になると軽快します。安静や鎮痛薬で対応しますが、数日後も良くならない場合は、患者さん自身の血液を硬膜外腔に注入する、「硬膜外血液パッチ」という処置が有効なことがあります。
局所麻酔薬中毒(血液中の麻酔薬の濃度がとても高くなること)(頻度 約0.02%) 硬膜外腔にはたくさんの血管があり、妊婦さんはその血管が豊富だと言われています。そのため、硬膜外腔に入れたカテーテルや麻酔薬が血管の中に偶発的に入ることがあります。血液中の麻酔薬の濃度が高くなりすぎると、初期症状としては、耳鳴り、舌の痺れ、金属のような味がすることがあります。さらに血液中の麻酔薬の濃度が高くなると、けいれんや、心臓に影響のある不整脈が起こることがあります。起きた場合には、人工呼吸などの適切な処置が必要になることがあります。
高位脊髄くも膜下麻酔・全脊髄くも膜下麻酔(脊髄くも膜下腔に麻酔薬が入ってしまうこと)(頻度 約0.1%) 硬膜外腔へ管を入れる時や分娩の経過中に、カテーテルが脊髄くも膜下腔に入ってしまうことが稀にあります。脊髄くも膜下腔に薬剤を投与すると、麻酔の効果が強く急速に現れたりします。重症だと呼吸ができなくなったり、意識を失ったりします。起きた場合には、人工呼吸をはじめとする適切な処置が必要になります。
硬膜外血腫・硬膜外膿瘍 数万人に一人と非常に稀ですが、麻酔の薬が投与されるべき硬膜外腔や脊髄くも膜下腔に、血液のかたまりや膿がたまって神経を圧迫することがあります。永久的な神経の障害が残ることがあるため、できる限り早期に手術をして血液のかたまりや膿を取り除かなければならない場合があります。
分娩時間の延長 陣痛が弱くなり、分娩が長引くことがあります。

和痛分娩を受けなくても、お産の後に起こる可能性があること

産後の神経障害 お産の後の神経障害は、お産の経過中に赤ちゃんの頭とお母さんの骨盤の間で神経が圧迫されることや、お産の時の体位が原因で起こることが多いと言われています。
腰痛 妊娠に伴い、子宮の重みがかかることで腰痛が起こります。和痛分娩を受けた人も受けていない人も同じくらいよく起こるとされています。

和痛分娩料金

外来 和通分娩検査費用:8,000円
和通分娩前の麻酔科受診:2,000円
入院 和通分娩代(入院分娩日に加算):120,000円
*和痛分娩中の血圧への対応などの薬剤料金含む
*和痛分娩から緊急帝王切開に以降した場合は、和痛分娩費用と帝王切開費用がかかります。

実績